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あしあと

    こんな講座をします(プチ田舎暮らし・月ヶ瀬―大根作り―)

    • 更新日:2016年10月4日
    • ID:6829

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    プチ田舎暮らし・月ヶ瀬―大根作り―

    大根作りをします

    奈良市東部地域の豊かな自然資源を活用し、農作業等を体験することによって、すばらしい自然の中で田舎暮らしの一端を味わい、栽培にたずさわる喜びを感じ、さらには就農へのきっかけづくりとなることを趣旨とした事業が「アクティブシニア農業体験事業」です。

    その一環として、当館として3つめの取組となる「プチ田舎暮らし・月ヶ瀬―大根作り―」を開催します。

    ※受付終了しました。

    事業内容に対して興味・関心をもっていただこうと、数回にわたって準備状況をお知らせしていきます。

     

    講座内容と日程は?

    作業日程は全3回です。

    □第1回…2016年9月2日(金)10時~15時

          (1) 収穫までの作業の流れを説明します。

          (2) 大根の種まきをします。

    □第2回…2016年9月23日(金)10時~15時

          (1) 菜の間引きをします。

    □第3回…2016年11月11日(金)10時~15時

          (1) 大根を収穫します。

    □番 外…随時

          (1) 除草作業

     

    講師にはどんな方が?

    向こうを指さして、説明をする大屋茂夫さん。

    地域で農業をいとなむ大屋 茂夫(おおや しげお)さんです。
    御年83歳のかくしゃくたる方です

    日頃より、大根はもちろんのこと、チンゲン菜、ホウレンソウ、ゴボウ、ニンニク、里いも、水菜などあらゆる野菜を作っています。

    誠実な人柄で、農業に対してあつい情熱と豊富な知識をもって講座を支援していただきます。

    すでに、借上げ畑地の除草作業を終え、均すなど、整備を進めていただいています。

    予告編(その1)

    昨年の様子(畑地の整備・畝づくり)

    昨年の様子(畑地の整備・畝づくり)

    予告編(その2)

    公民館から程近いところに、約60坪(200平方メートル)の畑地を借り上げています。

    早くも5月末には、一面を覆い尽くした雑草を刈り取り、耕しました。

    美しく整地をしたあと、1m40cm×7mの区画を設定し、ビニールひもで区割りをしました。

    1トンの鶏糞を取り寄せました。

    一輪車に小分けして畑まで運びます。

    若者でもたいへんな重労働ですが、御年83歳の大屋 茂夫さんは、一心に作業を続けます。

    2日かかって、畑一面に鶏糞を撒きました。
    撒き終わったあと、きれいに均しました。

    大屋 茂夫さんにうかがいました。

    Question:
    大根作りでいちばん大切なことは何ですか?
    Answer:
    何でもそうですが、野菜作りなどは、「種を蒔いておくだけでできる」わけではありません。植え付けから収穫まで、しっかりと手をほどこしてやることでちゃんと育ってくれるわけです。絶えず生育状況を見ながら、除草作業をしたりする必要があります。参加する方には、よく理解していただいて、自分が植えた苗の様子を、時々畑に見に来てほしいです。

    Question:
    このほかに、どんなお世話がありますか?
    Answer:
    野鳥の被害を心配しなければなりません。同じ地区でも、野鳥がよく出没する畑と、そんなにもやってこない畑とがあります。私の畑には、ほとんど野鳥は見られませんが、今度の借上げ地ではどうでしょうか。おどしの仕掛けも考えなければなりませんね。
    施肥(せひ=肥料やり)や消毒もあります。肥料の分量を考えたり、消毒用噴霧器の用意などは難しいと思われるので、それは私がやります。 

    Question:
    参加者1人につき、どれほどのスペースが与えられますか?
    Answer:
    約60坪(200平方メートル)の畑地で、1人「1m40cm×7m」の区画を設定します。その中で2畝に植えてもらいます。

    Question:
    2日間にわたって、鶏糞の施肥、ありがとうございました。
    Answer:
    1トンの鶏糞を畑一面に撒きました。よく肥えた畑地になりますよ、きっと。鶏糞など有機肥料は、一気には効きません。ひと月以上経たないと効果が現れてきません。その代わり、効果は長く持続します。一方、化成肥料は、一気に効果が現れますが、その効果は長続きしません。

    Question:
    もう少し、鶏糞について教えてください。
    Answer:
    同じ鶏糞を使っても、土質によって効果が出にくい場合もあります。砂地だと早くに効果が現れやすいし、粘土質だと効果が現れてくるのは遅いようです。これは、私のこれまでの経験から言えることで、本当はどうなのかは知りませんが…。それに、気候にも左右されます。肥料の効果は、雨や気温にも影響を受けます。雨が多いと、すぐに腐ってしまうような野菜になります。

    Question:
    肥えた畑を作るのもひと苦労ですね。
    Answer:
    当然のことですが、肥えた畑ほど雑草が生えます。雑草が生えるということは、虫たちが集まってくるわけです。私が作っている野菜は、自分が食べる分だけのことなので消毒はしません。その分、虫に食われます。他人様に買ってもらうために作る場合は、見栄えも考えなければなりません。虫に食われた野菜なんか買ってはもらえないので、しっかりと消毒をします。同じ野菜作りでも、農業哲学が違ってくるわけです。あっ、それから、肥料をやりすぎると、作物はやわらかくなって早めに腐ってしまいますね。

    Question:
    作物の被害は、野鳥や虫だけですか?
    Answer:
    病気もあります。炭疽(たんそ)病などがありますね。その場合、殺菌剤を撒きます。大根の病気には、白さび病、黒点病、バーティシリウムがあります。

    Question:
    最後に、ひとことお願いします。
    Answer:
    誰が植えたかということよりも、野菜づくりは「守り(もり)」が大切です。これから、夏本番まで3べんほど畑を打ちます。

    予告編(その3)

    6月28日(火)畑の様子

    借り上げた約60坪(200平方メートル)の畑地一面に鶏糞1トンを撒きました。
    化学肥料に比べて、少しずつ土になじんでいきます。

    7月19日(火)畑の様子

    鶏糞を撒いてから3週間経ちました。
    畑一面を雑草が覆い尽くしています。
    おそるべし、雑草!
    効果てきめんの有機肥料、鶏糞!
    雑草が生えるのは、鶏糞の栄養が行き届いている“おかげ”。
    大根作りに大きな期待がふくらみます。

    女性職員2人が除草に取りかかりました。
    梅雨明けの炎天下、たいへんな作業でした。

    3時間かけて、ようやく雑草を取り除きました。
    やっと畑らしさを取り戻しました。
    これで、畑打ち(耕し)ができます。

    7月22日(金)畑の様子

    大屋茂夫さん愛用のミニ耕運機で3回目となる畑打ちをしていただきました。
    縞模様を描くように、まっすぐ双方向に耕運機を往復させます。
    畑が少し傾斜している分だけ、のぼり勾配では体重をかけて力を入れなければなりません。

    大和高原の山並みを背景に黙々と、ひとり畑打ちに打ち込む大屋茂夫さん。
    畑への愛情がにじみ出ています。

    1時間半かかって、同一方向(ヨコ)に全面を耕し終えました。
    ひと息いれて、今度はクロスして(タテ)畑打ちをします。
    こうすることで、鶏糞がしっかりと土に馴染むわけです。
    3時間かけて、3回目の畑打ちが終わりました。

    今回は、雑草などについて大屋茂夫さんにうかがいました。

    Question :
     前回、「野菜作りは、守り(もり=管理)が大事。あと3べんほど畑を打たな(=耕さなければ)あかん」とおっしゃいましたが目的は?

    Answer:
    今日(7月22日(金))で3回目の畑を打ちました。
    畑打ちは、6月に撒いた鶏糞を細かく砕いて馴染ませること、まんべんなく土に絡ませることなどが主な目的です。

    Question:
    畑は耕す深さがあるとのことですが、今回は、どれくらいの深さで耕してくださったのですか?

    Answer:
    あんまり深く耕しても意味がありません。
    それに、土が固いこともあります。
    最初に打ったときは10cmくらい、2度目は15cmぐらいに機械を設定しました。

    Question:
    しっかりと鶏糞を撒いたおかげで、雑草が一面にはびこるほど栄養満点のよく肥えた土壌になったのですか?

    Answer:
    そうですね。
    実は、種まき作業をするときなどの歩くスペースにしようと思っていた部分には、鶏糞を撒きませんでした。
    えらいもんで、そこだけは少しも草が生えていません。
    写真を見てください。

    写真中央のひと筋の土の色が違うのがわかりますか?
    前回、鶏糞を撒かなかったために、栄養が行きわたっていないことで、雑草が生えなかったのです。

    Question :
    この間、職員で除草したとき、赤褐色の太い茎の草が一面にはびこっていました。
    あの草はいったい何ですか?

    Answer :
    スベリヒユですね。
    このへんでは「スベリ」といっています。
    雑草の中でも、このスベリヒユとスギナが1番やっかいです。
    スベリヒユは、夏の代表的な雑草で、肉太の茎が座布団くらいにまで地上を這います。
    スギナも、地下茎がしっかりとしているため、地上に出ている部分を取り除くことは簡単ですが、根っこから完全に引き抜くことが難しいですね。

    これが、畑地の天敵、スベリヒユです。
    しかし、意外な一面も・・・。
    漢方薬として、抗菌作用を始め、利尿、消炎、解毒などの作用があり、健康食品にも使われる「ω(オメガ)-3脂肪酸」が多く含まれることで、血圧、心臓冠動脈病などの血管系に優れた効果があるそうです。
    しかも、お浸しやマカロニサラダの具材、辛子醤油和え、天ぷらなど食材になるとのこと。

    こちらは早春の山菜として親しまれているツクシですが、成長をとげてスギナと呼ばれた時点でずいぶん厄介な雑草となるそうです。
    「地獄草」の別名をもつほど、難防除雑草ということです。

    予告編(その4)

    9月6日(火)種を買いに

    □今回は種の話です。

    9月6日、大根の種を買いにホームセンターへ。

    大屋さんにも一緒に行っていただきました。

    Question:
    大根は、いろんな種類があるんですか。

    Answer:
    「耐病総太り大根」、「青首大根」、「青首宮重総太り大根」、「おでん大根」、「おろし(辛み)大根」、「練馬大根」、「聖護院大根」・・・ほんとにいっぱい種類がありますよ。

    今回は、「青首宮重総太り大根」という種を買いました。

    Question
    「青首宮重総太り大根」って何ですか。

    Answer
    青首大根の一種で、愛知県の宮重(みやしげ)というところが発祥ということです。
    首の色が緑色なので「青首」といわれます。
    いまや、全国的に知れわたっている〝定番〟の1つで、市場にいちばん多く出回っている大根ですね。
    太さが均一で肉質は緻密なので、おでんやふろふきなどの煮物から、切干、たくわんなどの幅広い用途に利用できます。
    大根おろしなんかに適していますね。
    種を蒔いて60日程度で収穫できます。大きく育ちますよ。 

    Question
    種のパッケージ(絵袋)の説明書きを見てびっくり。
    イタリア産って書いてありますよ。

    Answer
    イタリア産だけではありませんよ。
    オーストラリア、ニュージーランド、アメリカなども生産国です。

    Question
    種って、有効期限はあるのですか。

    Answer
    まあ、1年くらいは置いていても大丈夫でしょうが、2年3年と経てば、ほとんど発芽しないようです。
    そうそう、パッケージの裏を見てごらん。
    発芽率も書いてありますよ。
    蒔いた種全部が発芽することはありません。 
    これは85%です。
    まあまあでしょう。
    ちなみに、ここにある玉ねぎの種は発芽率が55%。
    私の経験からいえば、まるくふくらんだ種の方が発芽しやすいです。
    ペタンと平たいものは生えにくいようです。
    おもしろいことに、発芽しなかった地点に別の新しい種を蒔き直しても生えてきません。
    不思議なことです。
    種を蒔くときは少し、位置をずらして蒔きます。

    Question
    種の善し悪しは、どうやって見分けるのですか。

    Answer
    残念ながら、見た目だけではわかりません。
    遺伝子がぎっしり詰まっている生物なので、一粒一粒違って当たり前です。
    ちょっと、袋から種を取り出して見てみよう。
    ・・・うん、これならいいでしょう。

    Question
    別の種類の種と見比べてみました。
    種の色が違いますが何故ですか。

    Answer
    色が付いているものは殺菌、防虫のために薬剤処理をしているものです。
    口に入れてはダメですよ。

    Question
    (基礎知識はこれくらいにして・・・)いよいよ、9月23日(金)に参加者に集まってもらって種を蒔きますね。
    蒔くときの注意なんかあるのですか?教えてください。
    ※当初予定していた種蒔きは9月2日でしたが、高温続きのため16日に延期をしていました。
    その16日もまた、雨天が続いたため再度延期をしています。

    Answer
    2粒~3粒ずつ、25cm間隔に蒔きます。
    先ほども言ったように、蒔いても必ずしも生えるとは限りません。
    でも、1か所に2株も3株も育てませんね。
    1株でいいんです。だから、ひとところに何粒も蒔く必要はありません。
    間引きの作業もしなければなりません。

    9月10日(土)に4度目となる畑打ちをしていただきました。
    16日に種蒔きをするとしていたので、この日に決めて打ちました。
    日延べになってしまいました。

    Question
    畝は作る(立てる)んですね。

    Answer
    いや、このへんでは畝は立てません。
    土地土地によって、畝を立てるところと立てないところがあります。

    黙々と、ただ一人で畑打ちをする大屋さん。
    愛車の耕運機を巧みに操ります。

    Question
    間引きをする日はいつごろがいいでしょうか。

    Answer
    間引きの時期は、種蒔きからだいたい1か月くらいですね。
    ※相次ぐ日程延期により、第2回目となる間引きの日は未定です。

    畑打ちをしていた大屋さんのもとに、この畑の持ち主、上嶋さんがふらりと顔を見せてくれました。
    なごやかに、作物について語り合う2人です。
    天候や台風の影響で、やむなく第1回目(種蒔き)の日程を延期しました。
    やきもきしていますが、農作業の難しさも実感しています。

    予告編「こんな講座をします」は、これで終了します。

    参加される方々のために、経過編「こんな講座ありました(プチ田舎暮らし・月ヶ瀬―大根作り―) 」を予定しています。

    自分の植えた大根の生長具合を確かめる楽しみを持っていただくためです。

    大屋さん、本当にありがとうございました!!