めもりある・うぉー
- 更新日:2011年10月7日
- ID:1777
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めもりある・うぉー <三笠公民館:平成18年8月9日 全1回>
アコースティックギターの調べにのり、魂の咆哮にも似たボーカルが、真夏の夜の熱気を、人々を制している。視線を外すと、ドア越しに無数の小さなガラス瓶の中に、ローソクの炎がゆらめき合っている。この1年長かった“めもりある・うぉー”の軌跡も今、終わりをむかえようとしている。
2005年の夏、何気ない会話からそれは始まった。
「戦後60年を機に、私は軍服を処分しようと思う。17、8才の特攻隊時分の物だ。」
「えっ、勿体無いですネ!そんな貴重な物を。是非、軍服を前に戦争の事お話しください!」
「語り部なら、小学校でしたことがある。三笠校区には、語り部として、中野学校出身の方、ヒロシマで被爆された方が居られる。」
「是非お話ししてくださいませんか?タイトルは、私が前に仕事で行ったサンフランシスコに“メモリアル・ウォー”という碑があり、それには“全ての戦没者に捧ぐ”という一文があったように記憶しています。“めもりある・うぉー”に致しましょう。」
三笠公民館のグループ協議会と、三笠公民館独自の“いつもと違った日曜日”のボランティアグループが中心となり、実行委員会をたちあげました。奈良市生涯学習財団主催によるこの平和な集いは、稀少なイベントです。当初、予定していたのは“語り部”のみでしたが、その後、共鳴して頂くグループが増え、展示もパネル“原子爆弾の恐怖(ピースおおさかより借用)、戦時中の暮らし、米配給の券等。
圧巻は、軍服、軍用コート、日の丸、水筒、飯ごう等々、丁寧に保存されてきた品々。まさに、観るだけで実感として胸に迫ってくるものがあります。
今回のアートディレクターの赤坂かおりさんの作品を展示した“かおりんの部屋”。そして、大宮小学校三年生、三笠キッズの子供たちが描いたピースメッセージは“戦争のない世界に!”“家族みんなが幸せに!”等、可愛らしい絵と、メッセージにあふれて居りました。
発表会場は、平和をテーマにコンサートや「うたごえ」が開催されました。
三人の語り部のトップは、中野学校で小野田さんと同期だった大野唯雄さん。「ルソン島残置謀者」というタイトルで、中野学校での日々、軍律や熾烈を極めた南部戦線の状況などをお話しいただいた。
二人目は、広島で従軍の際、被爆された鍛永利夫さん。原爆のオレンジ色の閃光、地獄と化した「ヒロシマ」の惨状を語られた。
そして最後は、この“めもりある・うぉー”の発起人である稲植英和さん。少年兵としてのお母さんに対する思いや、焦燥の日々を「戦時下の青春」として話された。老若男女、そして、子供たちも思いをひとつに聞き入り、熱心な質疑応答も続きました。
和室での心のこもったお茶席、生活用品をとりそろえた“バザー”“無農薬野菜”“木工製品”等はあっという間に完売いたしました。
その後、婦人会による“すいとん”炊き出しが始まり、美味しいすいとんに皆、舌鼓。ひとしきりのにぎわいが続く中、平和の式典がとり行われました。
“平和祈願”すべての戦没者の方の為と、平和への祈りとして、大宮地区で民生委員、そしてご住職である桜井氏が平和祈願等をされた後、500余のガラス瓶に燈りが灯されました。この献灯会は、子供たちの彩色した瓶が一段と可愛らしく輝いておりました。
最後の語り部の稲植さんによるお話に耳を傾けながら、ゆらめくローソクの灯の中、浮かび上がるヒロシマ‐千羽鶴。この日のために、公民館の利用者の方々が一羽ずつ心をこめて折ってくれたこの鶴は、めでたく千羽を達成し、ほこらしげに飾られております。
最終ステージ、普段はロックを歌っているグループ“Savin'Grace”による、フォークライブは、夏の夜空へと立ち登ってゆきました。
この夏共に汗した皆さま、お疲れ様でした。そして、熱い想いをありがとうございました!来年も又“めもりある・うぉー”でお会いしましょう。宜しくお願い致します!
追伸
千羽の鶴は、8月末、ヒロシマの空へと飛び立って行きました。あなたが、広島を訪れたときは、是非、“原爆の子の像”の所で彼等を捜してください!
あとがき
公民館スタッフは、今年、4月と7月に夫々広島におもむいて、原爆資料館等で、情報収集にあたりました。その他、ご協力頂いた全ての方お一人お一人に、心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
お問合せ
三笠公民館
住所: 〒630-8115 奈良市大宮町四丁目313番地の3
電話: 0742-33-0515
ファックス: 0742-33-0515
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