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あしあと

    こんな講座ありました(大和の言葉・その特徴と起源)

    • 更新日:2013年3月2日
    • ID:3839

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    大和の言葉・その特徴と起源<都跡公民館:2013年2月16日(土)>

    私たちが普段話している奈良の言葉を、意識することはありますか。

    都跡公民館では、そんな素朴な思いをきっかけに、奈良の方言に関する講座を行いました。

    京都・大阪という2大都市圏に挟まれた奈良。日常使われる言葉もこの2つの都市に大きく影響を受けています。奈良の言葉について、歴史とともにひも解いてみようという目的のもと、開催しました。

    講師は富山大学人文学部教授の中井精一さん。言語学を専門に研究される先生にお話を伺いました。

     

    地域を知るにはお雑煮から

    「うちの家のお雑煮は、“けったい”でした」と語る中井先生

     

    お話は、お雑煮についてから始まりました。

    新潟市のお雑煮は非常に豪華なもの。

    富山市の一部では非常に質素なものが食べられている。

    「お雑煮はあまりお客さんに出すものではないので、嫁いだ先が全く違う文化圏だと雑煮の違いにびっくりします」と先生。

    奈良県のご実家では、白みそ仕立ての汁ものの中から餅を取り出して、きな粉やアンコに付けて食べていたとのこと。

    変わった食べた方として有名になってきたこの食べ方、「我が家だけのやり方か」と心配していたこともあったとか。

    奈良県の方言の地域性

    会場は満員御礼となりました

     

    大きく、奈良盆地の国中(くんなか)、東部の東山中(ひがしさんちゅう)、山岳地帯吉野地方の奥(おく)に区別される奈良の方言。

    北部の国中や東山中は京都や大阪に非常に近い京阪型アクセントが特徴とされるが、興味深いことに奥と呼ばれる地方ではアクセントが東京型となるとのこと。

    かつて5つあった関西アクセントは、今はまとまり、4つの型を残しています。東京アクセントは3種類。九州西部のアクセントは2種類となっているといいます。

    「かつて、東京の役者さんが関西の言葉を話すとき、どうしても不自然に聞こえたが、最近は外国語のような感覚で、現地の方言指導の方が録音したものを耳でしっかりと聞いてから役に入るので、上手になった」と先生。

     

    奈良市がある国中の特徴とは

    「関西の言葉は新しい」と語る中井先生

     

    では、奈良市で使われている言葉の特徴はどんなものがあるのでしょうか。

    まず、アクセントは京阪式。

    1文字で表わされる言葉は、2文字分に伸ばして言う。蚊は「かあ」。血は「ちい」。木は「きい」。

    断定の助動詞は「や」。「それは僕や。私や。」など。

    現代言語学の先生は、「関西の言葉は都の言葉。古いものを大切にしてきた結果、東京など周りの言葉が変化し新しくなってきた」と言うそうです。

    「しかし、それは反対で、渡来人が多くたくさんの文化を吸収してきた都の言葉=関西の言葉こそが新しく進んだ言葉である」と中井先生。

    わからないことが多いが、言葉に精通するには、辞書の編纂が1番だといいます。

    終わりに

    受講者のうち男性が7割を占めました

     

    その他にも・・・

    高知県の人は、「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」を区別して発音ができる。

    関西では、「かぼちゃ」「なんきん」「ぼぶら」などひとつのものを違った言葉で呼ぶことが多い。

    「なおす」は、「収納しておく」「修理する」という2つの意味が含まれている。

    「こける」など、関西から派生した全国共通語も多い。

    「もむない」(おいしくない)は、「うもうない」(美味くない)からきている。

    など、90分ではとても話しきれず、「第2弾もやりたいです」と気さくに話してくださいました。

    受講者の声(抜粋)

    • 楽しく聞きやすい。お人柄の温かさが出ているお話だった。大変良かった。
    • 普段、あまり方言について考えたことがなかったのですが、奥深いものを感じました。
    • わかりやすく、興味がより増す講義で、時間がたつのを忘れさせていただいた。
    • 現在、自分が使っている言葉、また周囲で聞く言葉にもっと注目して過ごしたい。

    講座を終えて

    問合せが多くあり、都跡公民館への来館も初めての方が多数おられたこの講座。

    アンケートの声にもありますが、中井先生の優しいお人柄が話によく表れていて、難しく捉えられがちなテーマを分かりやすく話してくださいました。

    地域の文化と密接な関係にある言葉。考古学者を志しておられた先生が、言語学に目覚めたのは、方言についてもっと知りたいと思われたからだそうです。

    親から子へ文字通り口伝いにつながってきた言葉。今ではテレビの影響で地域以外の言葉を耳にする機会も増え、平準化が進んでいる状況にあります。

    また、10年くらいで消えてしまう言葉もあります。

    しかし、先祖から伝えられた言葉のバトンを次世代に残し、伝えていくことの大切さを感じた時間でした。