こんな講座ありました(奈良学セミナー(後期))
[2020年6月7日]
ID:10606
ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます
[2020年6月7日]
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この講座は、奈良の歴史や文化について深く掘り下げた内容を学ぶ講座です。
知識を深めるとともに知への好奇心を膨らませ、奈良への愛着を持ってもらうことを目的に開催しています。
中部公民館の代表的な講座です。
会場は満員になります。
前期に続いて、神代の時代の出来事を紐解く時間となりました。
日本最古の書物『古事記』。
世界のはじまりから神さまの出現など、さまざまなエピソードを交えて描かれた『古事記』の世界。
今回の講師は、奈良学セミナーコーディネーターの帝塚山大学客員教授の西山厚さんです。
奈良時代に、こんなにも豊かな表現があったことに深く感動しました。
西山先生からあふれだす「『古事記』愛」に耳を傾け、情景を思い描く時間になりました。
2018年に中金堂の落慶を迎えた興福寺。
興福寺は火災の多い寺としても知られています。
創建以来7度の火災に見舞われますが、そのたびに再建されてきました。
平安時代には4回もの火災に遭いました。
特に11世紀中ごろに多かった火災は、貴族の生活様式が朝型から夜型になったことで、宗教儀式も夜に行われることが多くなり、それが原因になったと言われています。
講師は京都大学大学院文学研究科教授の上島享さんです。
これだけの火災に遭ってもそのたびに再建できたのは、当時は藤原氏の氏寺として大切にされてきたことが挙げられています。
しかし、時代の変遷のなかで、1717年の火災以降は再建がままならず、300年ぶりに中金堂が再建されました。
今回の再建にあたり、多くの方からの勧進がありました。
落慶法要の画像を見ながら、改めて興福寺への篤い信仰を感じました。
歴史の教科書で聞いたことのある「講」。
今も奈良の各地には、講組織が代々受け継がれています。
講には、信仰的講・社会的講・経済的講があります。
暮らしや信仰を同じくする者の営みであったり、相互の親睦を図るもの、経済的に助け合うものなど、県内各地でさまざまな講集団が活動を続けています。
そのなかで、奈良県各地に残る庶民の信仰的な講、春日講・伊勢講・六斎講について解説していただきました。
講師は、奈良民俗文化研究所代表の鹿谷勲さんです。
正倉院宝物には、多様な素材で作られた坏が所蔵されています。
どれも異国情緒を漂わせているものばかりです。
遠くペルシャを起源に、西域・唐を経て日本に伝わったとされている坏。
正倉院には、西域産の品としてガラス器、風俗を表す楽器類の形を模した銀皿・十二曲、文様を模った樹下動物文等、多く美術工芸品が今も大事に所蔵されています。
当時の日本の国際交流を知ることができる時間になったのではないでしょうか。
講師は、奈良国立博物館学芸部列品室長(考古学)の吉澤悟さんです。
多くの方に受講いただき、2019年度も奈良学セミナーを終えることができました。
さまざまな時代の奈良が、現代の私たちが暮らす奈良につながっていると思うと、感慨深いものがあります。
奈良学セミナーは、今後も広い視点で奈良の歴史・文化を学ぶ機会にしていきます。
またお会いできる日を楽しみにしています。