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あしあと

    こんな講座ありました(学校に行きたくないに、どう寄り添う?)

    • 更新日:2023年11月2日
    • ID:13596

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    学校に行きたくないに、どう寄り添う?<富雄公民館:2023年8月22日(火)>

    「学校に行きたくない・・・」いざその言葉を聞いたとき、保護者が戸惑ってしまうのは当然だと思います。

    でも、この時どんなふうに子どもに寄り添えば良いのか、少しでも保護者が知っておくことで、大きな行き違いになることを最小限にすることができるかもしれません。

    保護者が家庭でどのような見守りや声掛けを行うことが良いのかを学ぶとともに、子どもにとってどんな場所で学ぶことが良いのかを、考える機会として開催しました。

    今回は、「特定非営利活動法人市民ひろばなら小草」の理事 松田秀代さんを講師に迎え、講演とグループワークを行いました。

    松田先生は、長年教職の仕事に就かれていました。
    さまざまな子どもたちの悩みの中でも、不登校の子どもと接する中で、不登校の子どもたちの居場所支援を中心に活動していきたいという思いから早期退職をされ、「学びのフリースペース小草」というフリースクールを仲間と一緒に立ち上げられました。

    松田先生は、教員経験やご自身の子育ての中から、子どもたちと接するとき、何よりも先ず、子どもというのはどういう成長過程をたどるのか(心・身体の変化)を保護者がきちんと知ることが大切だとお話しされました。
    思春期の成長スパートは10歳くらいからと言われていて、身体の著しい成長とともに、心も成長していきます。
    そんな中で、大人との関係性も変化し、特に身近にいる保護者との関係性が難しくなるのも、この「思春期」と言われる時期だということです。

    身体が大人になろうとしていくけれど、心は幼く、十分な仲間関係や社会性を身につけるなど、親からの自立を支える一定の基盤ができる前に思春期に突入してしまう。

    ここに、子どもたちの葛藤が生まれる、と言われました。

    これを知らずに接すると、保護者も子どももフラストレーションだけが溜まることになります。

    心情としては、「自立したいという気持ち」と「誰かに依存したい気持ち」で揺れ動く。

    この相反する気持ちが見え隠れする行動を持つ扱いにくさが、思春期の特徴です。

    さらにこの時期、学校生活(集団生活)の中でも、さまざまな経験をするのですが、その中ではストレスを感じることも当然起きます。

    そうすると、家に帰るとクタクタになる・・・何か言われたら、イライラして反抗してしまう。

    この循環は、ほとんどのご家庭が経験されているのではないでしょうか?

    そこで、松田先生は思春期の親子のコミュニケーションで、特に気をつけてほしいこととして、ダブルバインド(二重拘束)のコミュニケーションになっていないかを注意してほしいと言われました。

    例えば・・・「自分で考えてちゃんとやりなさい」と口では言う一方で、「私を安心させるようにちゃんとやりなさい」というメッセージ(たとえ言葉に出さなくても・・・)が潜んでいないですか?



    「自分で考えてやったつもり」でも叱られる。それならと思って、親の指示を待つ。

    「親に言われてやるようではダメ。自分で考えて」と叱られる。

    じゃあ、一体どうしたらいいの?

    子育て中の職員も、身につまされる思いでした。

    このお話の流れから、不登校の内容に入っていきました。

    文部科学省が公表した「問題行動・不登校調査」で、全国の小中学校で2021年度に学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒は、前年度から4万8813人(24.9%)増の24万4940人となり、過去最多を記録した。
    不登校の増加は9年連続で、10年前と比較すると小学生は3.6倍、中学生は1.7倍増加しているということです。

    不登校になる原因は、さまざまだと思いますが、子どもたちは小さな「SOS」を出しています。でも「SOS」がはっきりしたものとは限らないということを松田先生はおっしゃっていました。
    でも逆にはっきりとした形で出される「SOS」に自傷という形があるそうです。
    これについては、「自分の身体に傷をつけてまで封じ込めたいほどのつらい出来事がある」という理解をし、「何があったの?」と言葉をかけてあげてほしいということでしたが、この時、先ほども紹介したダブルバインド(二重拘束)になっていないかということを、念頭に置いて声掛けをしてあげてほしいと、松田先生はおっしゃっていました。

    松田先生は、「子どもに対しては、揺るがない盾になることが親や大人に求められている。シンプルな一方向のメッセージが大事。子どもはそのメッセージに腹が立てば、そこには子どもが思い切りぶつかっていけるから」と、おっしゃっていました。

    子どもがどうしたらいいの?となる状況を作らないであげてほしいという、松田先生からのお言葉でした。

    もし「学校に行きたくない」と言われたら「ふーん・・・そうなんだぁ」くらいの落ち着きぶりで受け止めて、そして、「よく伝えてくれたね!」と言ってあげてください。

    「学校に行きたくない」を受け止めてからしか、次の一歩はないです。

    大事なことは、相談したいと思える場所、人がいること、普通に接してくれること、学校に行くことを目標にしないことだということでした。

    松田先生からのメッセージ

    子どもに関心を持つこと。

    ・どんな気持ちなのか?

    ・今、この子は安心しているかどうか?

    ・子どもの話に耳を傾けられているか?


    親もしんどい時や悩むことがいっぱいあります。

    何が失敗なのか?

    「正解」な子育てはないから・・・。

    しんどい時や悩んだ時は、弱音を吐いたっていい!!

    誰かに聞いてもらおう!!

    子どもの人生を全て背負えないのだから、「ゆるっと」付き合おう。

    気負いすぎないで。

    参加者の声

    ・実際の現場の状況が知れて勉強になった。今回のことを参考にしたい。

    ・子どもの気持ちについて解説いただけたのが良かったです。ただ、親としては、ここで学校を休んでしまったら、この先続く人生でどうするのか、という点がやはり不安なのでそういったところについてもお話があればよかったです。(今が大事というのはわかった上で)最後に先生や他の方とお話しできたのはとても良かったです。ありがとうございました。

    ・当てはまることばかりで納得いくお話の内容でした。今後、フリースクールも視野に入れながら不登校にゆるっとつきあっていくのもありなのかなと思いました。ありがとうございました。

    ・他の保護者の方の悩みを聞き、話し合え、共有できたことが良かったですし、いろいろな選択肢があることが分かり勉強になりました。

    ・子どもの話を聴いているつもりでいましたが、今の子どもの気持ちや考えをしっかり受けとめていたかなあと、改めて思いました。

    講座を終えて・・・

    講座を終えてから、机ごとに座ってもらったメンバーで講座の感想や、現在の悩みなどを共有していただきました。
    そして、松田先生には順番に机をまわっていただき質問や相談を受けていただく時間を取りました。
    参加された方の多くが、現在子どもさんが不登校になっていて悩んでいるということでしたが、保護者同士で悩みを共有してもらえる時間を作ることができて、講座終了時保護者の皆さんの表情が、来られた時よりも少し明るい表情になってもらえたような気がして、良かったと思いました。